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イベント 2026.05.11

にいがた酒の陣2026レポート

2026年37日(土)・8日(日)に朱鷺メッセ展示ホールを会場に開催された「にいがた酒の陣2026」。

コロナ禍による3年間の中止を経て、2023(令和5)年に4年ぶりに、スタイルを一新して再開された。再開後4回目となる2026(令和8)年の酒の陣。以下は、新スタイルの酒の陣にまだ参加したことのない人の予習として、常連の方たちにはより楽しむための作戦を練る要素として、その様子をレポート。

参加できなくても楽しめる企画や今後県内各地で開催される日本酒イベントもご紹介したい。

まずは歴史を振り返ろう

「にいがた酒の陣」は2004(平成16)年2月に、県酒造組合50周年事業として朱鷺メッセで初開催された。

2014年2月に初めて開催された「にいがた酒の陣」会場の様子

それまで行われていた数々のイベントを一本化するため、ドイツのオクトーバーフェストの視察などを経て、朱鷺メッセに94蔵が集まり新潟の酒と食を楽しむ祭典として「にいがた酒の陣」が開催され、2日間で延べ49,000人が来場した。

実はこのイベントは50周年記念事業として1回限りの予定だったが、来場者や行政等からの要望により継続が決まった。

 

その後、2011(平成23)年の東日本大震災による中止を経て、その翌年の2012(平成24)年には2日間の延べ来場者数が10万人を、2018(平成30)年には14万人を超え、国内有数の日本酒イベントとして定着。全国各地からだけでなく、海外からも来場するイベントとなった。

しかし来場者が増えるとともに、本来の目的である蔵元と来場者とのコミュニケーションの場としての機能を果たすことが難しくなっていた。このためイベントのスタイルを変更して準備を進めていた矢先の2020(令和2)年、コロナ禍により中止を余儀なくされた。その後2022(令和4)年まで中止となり、2023年に4年ぶりに再開された。

再開を機に予約・定員入れ替え制に

それまで入場無料、人数制限はなく、チケットを購入すれば飲み放題だったスタイルを、12部定員(入れ替え)制に変更。再開した2023年は2日間で12,000人が来場した。

人数制限によりチケットの入手は困難になったが、ゆったりと酒蔵との会話を楽しみながら日本酒と食を楽しむ本来の目的が果たせるスタイルとなり、来場者の満足度も高まった。その一方でチケットが取れなかった方たちの「残念」との声があったことも事実だ。

再開の翌年、2024年3月開催の「にいがた酒の陣」の会場

 

「語りたい、味がある」をテーマに、酒蔵も大いに語り、楽しむ

2026年の「にいがた酒の陣」は82蔵が参加。昨年と同じスタイルを取りながら定員を増やし、2日間で2万人が来場した。

 

「今回はなるべく多くの方にチケットを購入する機会を持ってもらうため、チケット販売は今までの先着とは別に、抽選販売も取り入れました」と実行委員長の宮尾佳明さん(宮尾酒造/村上市)は改善した点を説明する。

「チケットの種類や入場前の待機列の場所を変更し、よりスムーズに入場できるようにもしました。その他、協賛、物販ブースの位置の変更などを行い、お客さまの利便性を高めることに努めました」

一年ごとに、よりよいイベントとなるよう、実行委員会を中心に検討を重ねている。

実行委員会は県酒造組合の若手経営者の会「新星会」のメンバーも参加している。酒蔵の経営者の方たちが自ら汗を流し、作り上げ、磨き上げているイベントなのだ。会場で白いスタッフジャンパーを着て飛び回っている人たち。その多くが酒蔵経営者本人たちだ。

会場マップの裏面のポイントもしっかりチェックしよう

入場時に配布される会場マップを参考に酒蔵ブースを巡ろう

開場から30分間は試飲は行わず、販売だけというルールもある。

参加者はその間に会場を下見して、回る酒蔵や順番を決めたり、先にお目当てのお酒と食べ物を購入して席で味わいながら、パンフレットを見て作戦を練る人もいる。

越後酒造場(新潟市北区)

2026年の来場者2万人のうち、約60%が県外から、そのうち約1.4%が海外から訪れた。この数字から、新潟の経済効果にも大きな影響を与えていることが伺える。

ちなみに男女比は64。最も多い年代は4050代で約半数を占める。次に20代~30代が約4割と、日本酒に興味をもっている若い世代の人たちが多いこともわかる。

 

2026年は、「語りたい、味がある」をテーマに、蔵人は今回のイメージカラーである翡翠色の手ぬぐいを身につけ、来場者が気軽に声をかけられる目印とした。

柏露酒造(長岡市)

恩田酒造(長岡市)

高の井酒造(小千谷市)

「今回もお客さまに喜んでいただけるよう、各蔵で工夫して行っていたと思います」と宮尾委員長が振り返るように、酒蔵ブースの楽しさ、伝えたいという思いの表現は、再開後、年々熱を帯びている。

参加者の方たちにいかに楽しんでもらえるか、いかに自身の蔵のお酒のストーリーを伝えられるか、そのために酒蔵の人たちが時間をかけて準備してきたことがわかる。その成果をお披露目する場にもなっている。ステージでは酒蔵の㏚タイムも設けられた。

 

スタッフの衣装やかぶりもの、着ぐるみから、お酒紹介のボード、抽選会などのお楽しみ、相性のよい料理とのペアリング提案、お燗酒の提供、オリジナルグッズの販売など、それぞれのブースが趣向を凝らして参加者とともに楽しんでいた。

頚城酒造(上越市)

菊水酒造(新発田市)

石塚酒造(柏崎市)

弥彦酒造(弥彦村)

加藤酒造店(佐渡市)

青木酒造(南魚沼市)

丸山酒造場(上越市)

笹祝酒造(新潟市西蒲区)

宮尾酒造(村上市)

2026Miss SAKE Niigataの山﨑万央さん(写真右)と準グランプリの金子梓さん(写真左)もイベントに花を添えた

 

多くの酒蔵が酒の陣限定のお酒を販売し、中には複数の酒蔵がコラボした商品を販売するケースも。

佐渡の5蔵では、佐渡金山から採取した酵母をベースに県醸造試験場で開発したオリジナル酵母を使った「佐渡五醸2026」の先行販売も行った。

にいがた酒の陣2026出品酒リストはこちら

 

長岡市の葵酒造(高橋酒造から事業承継)、新たに加わった十日町市の雪と里山醸造所、佐渡市のサケアイはイベントにフレッシュな風を吹き込んでいた。

雪と里山醸造所(十日町市)

 

新潟県オリジナルの発酵食品である「さかすけ」コーナーも人気を集めていた。

酒粕を新潟県が独自で開発した乳酸菌で発酵させた乳酸菌醗酵酒粕「さかすけ」の試食や、さかすけを使ったスイーツの販売などが行われた。

新潟の“んまいもん”も食べ逃しなく

新潟清酒は、食の宝庫・新潟の美味しいものたちとともに味わえば、さらに美味しさを増す。イベントでは新潟の食とともに楽しむことを目的に訪れる人も多い。

飲食ブースはメイン会場から通路を通った外側の、余裕のあるスペースに並んでいるので、購入の待機列や、テーブルが足りないなどのストレスなく、12店舗の美味を地酒とともに堪能できる。

2026年の12店舗の一押しは以下のとおり

海のフォアグラあんこう肝鍋(マルナカ食品)、鮎の塩焼き(いろり茶屋 火処)、佐渡サーモンの握り・刺身(のりば食堂しおさい)、熟成酒粕味噌豚串(さかたや)、真牡蠣のガンガン焼き(旬魚酒菜五郎)、清酒ラーメン(がんこ屋)、蒸し牡蠣(いちむら)、新潟おでん(竹徳かまぼこ)、ほるもん煮込み(ほるもん番鳥)、さかすけ唐揚げ(Mt.japan カンパニー)、へぎそば(小嶋家総本店)、佐渡産地酒の海鮮酒蒸し(豚田汁米)

 

2階通路の物販コーナーから会場内で出張販売する店舗もあった。

 

 

イベントに参加できなかった人も楽しもう

昨年から始まった「にいがた酒の陣」とのコラボ企画「新潟酒月(にいがたさかづき)」。

今年は3月1日から31日まで、県内150店の飲食店が参加し、クーポンを提示するとオススメの新潟清酒が1杯サービスに。SNSキャンペーンも実施し、来年の「にいがた酒の陣」のチケットも賞品にあがった。

宮尾委員長は「3月は酒の陣だけではなく、県内各地の飲食店で新潟清酒を楽しんでもらえるように、『新潟酒月』を昨年から開催しています。このキャンペーンが定着するよう、今後も取り組んでまいります」と、意気込みを語ってくれた。

宮尾委員長に来年以降、「にいがた酒の陣」に参加される皆さんへメッセージをいただいた。

「毎回、酒の陣には80を超える蔵元が出展しています。普段飲んでいる贔屓(ひいき)の蔵元ブースに行くのもよいですし、馴染みのない蔵元を回るのもよいと思います。楽しみ方は色々ありますが、お気に入りのお酒が一つでも多く増えることを願っています。

また、各蔵元でお客さまに喜んでいただけるよう、趣向を凝らして皆さまのお越しをお待ちしています。次の開催もお楽しみにしてください」

 

来年の3月が待ち遠しい人も多いと思うが、今年の9月19日(土)には長岡市で「越後長岡酒の陣」、10月17日(土)・18日(日)には上越市の高田地区で「越後・謙信SAKEまつり」も開催される予定だ。

各蔵単独や、複数蔵でのさまざまなイベントが、今後開催されていくので、ぜひ酒蔵のSNSをチェックして、新潟清酒を通年楽しんでほしい。

イベントに出かける前には、県酒造組合公式サイトで「蔵元ストーリー」をチェックしよう。それぞれの酒蔵のストーリーを知ってから出かけると、イベントの充実度はより高まるはずだ。

 

 

ニール

cushu手帖』『新潟発R』編集長

高橋真理子

cushu.jp

n-hatsu-r.com