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コラム 2022.03.31

酒屋さんお薦め 花見のお供にしたい1本

新潟市中央区の白山公園の梅が見ごろを迎え、桜のつぼみもそろそろふくらみ始めてきたこの季節。

新潟にとって待ちに待った春、花見シーズンも、もうすぐ。

今年は感染症対策を万全に、県内各地の花見を楽しみたい。

上中下越の酒屋さんお薦めの、花見をしながら飲んでほしい1本を、合う料理や花見スポットとともにご紹介。

山形県境の関川村&城下町新発田の花見酒

関川村の「新潟の地酒・銘酒専門店 やまさ」の若女将で利酒師、新潟清酒金の達人でもある佐藤真智子さんは「オシロイバナ 花酵母仕立て 純米吟醸 大洋盛」(大洋酒造/村上市)を推薦。

「オシロイバナから抽出した酵母を使っていて、ダイレクトな花の香りではないのですが、春を想像する上品な香りがします。一転、その香りからは想像できないような、すっきりと淡麗な後口。和食や刺し身など淡白な料理にも合うお酒です」(佐藤さん)。

意外な組み合わせも紹介してくれた。「ほのかにフルーティーな味わいは、春のスイーツと合わせてもいいですね。華やかなボトルデザインが、お花見の席や春の会合にもピッタリです」

近くのお花見スポットは、店舗の裏を流れる荒川の川沿い、数十メートルに渡る桜並木。

「日本一の清流に何度か選ばれている荒川沿いの桜並木は穴場です。土手から、左手にエメラルドグリーンに光る清流を眺めながら、右手にピンクの桜並木、そして遠方には残雪の山々が。村上市の花立ダムから当店の裏、そして小見橋までの長い桜並木は見応えがありますよ」と佐藤さん。

華やかなお酒とともに、穴場の絶景を楽しんでみたい。

 

城下町新発田にある「北越後銘酒館」店長の小池賢治さんは、花見スポットに合わせたカップ酒を提案。

「昔から桜の名所として知られる加治川沿いは、ふじの井酒造(新発田市)のおひざもとなので『フジカップ』はいかがでしょう」

花見と相性のいいカップ酒には、愛らしい花ラベルのものもある。

「梅ラベルの『越の寒中梅 純米カップ』(新潟銘醸/小千谷市)や、『鶴齢』のサクラ草のカップ(青木酒造/南魚沼市)もあります」と小池さん。

四合瓶のお薦めは「吟醸原酒 玄鳥至 ツバメキタル」(金升酒造/新発田市)。

「おでんやフキノトウの天ぷらと味わってみてください」(小池さん)

新潟市&弥彦村のお花見には―

新潟市秋葉区にある「酒のわんず」代表の小林俊明さんのお薦めは「『越州 桜日和(えっしゅう さくらびより)』(朝日酒造/長岡市)ですね。心地よい軽やかな甘さと、上品な香味が特徴です。花びらラベルのお酒を、満開の桜の下で飲みたくなります」。

「アルコール度数は13度とやや低めで、和食全般によく合いますが、塩の焼鳥にも合います」

“花より団子”にならぬよう、くれぐれもご注意を。

近隣の桜スポットは「能代川分流記念公園」。チェックしてみよう。

 

新潟市西蒲区の「地酒専門 岸本商店」代表の岸本健さんがセレクトしたお酒は「純米吟醸 醸す森」(苗場酒造/津南町)。

「花見の席で用意しやすいピザ(チーズたっぷりだと)に合う、フレッシュでジューシーな甘口テイストの日本酒です。桜を見ると華やかな気持ちになるので、飲んだときにも華やかな気分になれる、このお酒を選びました」

西蒲区の花見スポットというと、角田山に抱かれた上堰潟公園の桜と菜の花の競演が有名だが、岸本さんのおひざもとにもすてきなスポットがあるそうだ。

「当店から徒歩10分ほどの場所にある、矢川ふれあい公園がお薦めです!」(岸本さん)

散策から遊びまで、年代問わず楽しめる公園の桜を、酒と料理を味わいながらのんびりと観賞するのは、贅沢この上ない。

 

弥彦神社と弥彦公園の桜を目的に、春も多くの人が訪れる弥彦村の門前にある「酒屋やよい」代表の羽生雅克さんが推薦するのは「彌彦愛国 純米吟醸」(弥彦酒造/弥彦村)。

「弥彦山に自生するヤヒコザクラから分離した酵母『東京農大弥彦桜5号』で醸造。弥彦村で栽培される古代品種の酒米『愛国』がもつ、今の米にはない風味も魅力です」

合う料理は「山菜の天ぷら、サクラマスのムニエル、ノドグロの炙り、イカメンチ」。弥彦名物イカメンチはお花見フードにぴったり!「よろずや狩谷」TEL.0256-94-2104

羽生さんお薦めの花見の名所は弥彦公園のほか「弥彦競輪場脇第一駐車場、彌彦神社 外苑桜園」。

写真のヤヒコザクラの開花は4月下旬で「弥彦ロープウエイレストラン脇から越後平野を見下ろすと、ちょうど目の前にあります」(羽生さん)。こちらもお見逃しなく。

雪国・小千谷と南魚沼の、春を呼ぶ地元限定酒

小千谷駅近くにある「髙留商店」の女将、高野千佳子さんのお薦めは「泰然」(新潟銘醸/小千谷市)。

「純米大吟醸の中では価格が割安なこと。それでいて、純米大吟醸の名に恥じない品質であることが1番のポイントです」と高野さんはその理由を説明する。

「煮物、洋食系全般など、味がしっかりした濃いめの料理に合います」

小千谷市内の花見スポットは「何といっても船岡公園が一番です。他には山本山貯水池の側道も並木道になっていてきれいですよ。日吉町内の信濃川沿いに並木道もあります」と高野さん。髙留商店(小千谷市東栄1-3-23  TEL.0258-82-2635)

船岡公園の桜。4月中旬からはぼんぼりが灯り、夜桜も楽しめる。

山本山公園の菜の花畑も人気スポットだ。

5月3日(火・祝)からは伝統の「牛の角突き」も始まるので、小千谷では花見とともに伝統行事も見学したい。

三国街道の宿場町としても知られる南魚沼市の塩沢地区にある「雪国酒舗 金沢屋」代表の高野匡介さんがお薦めするのは「鶴齢 無濾過 塩沢産・越淡麗55 特別純米生原酒」(青木酒造/南魚沼市) 。

「塩沢産の酒米 越淡麗を使ったこの商品は、魚沼限定発売品です」と高野さん。年ごとに味わいも変わるという。

「昨年は酸の効いたクセのないうま口でしたが、今年は……。第一印象は滑らかな口当たりのよさ、その後に酸を強く感じます。飲んだ後も酸がじんわり舌に残ります。酸とコクで魅力的なうま味が引き出されています。甘辛は、昨年よりもやや甘みを感じます」(高野さん)

単体でも楽しめ、どんな料理にも合うとのこと。

南魚沼市のお花見スポットは、「六日町魚野川横の銭渕公園、塩沢片田のかまくら桜が丘公園などがあります」。

地元限定販売の地酒は旅の土産としても魅力的だ。

 

海の町柏崎と、城下町・上越の地酒を携えて

県内を代表する海の町・柏崎市にある「美酒考房西巻酒店」代表の西巻進さんのお薦めは「ヒメノイSour(ソアー)」(石塚酒造/柏崎市)。

「白麹を使い、仕込みの一部にもち米を用い、まるでレモネードのような味わいに。心が躍るような春の季節にピッタリです」(西巻さん)

合う料理は「レモンをかける感覚で鶏のから揚げ! 今まで一番ピッタリだったのはオニオンリングフライでした」。どちらも花見に持参できそうな料理なので、試してみたい。

提供:柏崎市

柏崎市の花見スポットといえば「やっぱり赤坂山公園ですね!」と西巻さん。ライトアップも楽しみだ。

 

ラストは高田公園の夜桜で有名な上越市。

八木酒舗」代表の八木宏治さんのお薦めは「岩豊(がんほ)特別純米無濾過原酒」(新潟第一酒造/上越市)。

昔ながらの生酛(きもと)造りで仕込み、その後約半年間雪中貯蔵した純米酒だ。

「生酛ならではの酸味が、雪中貯蔵によってまろやかに。3年前に発売されてから、コアなファンをもつお酒です」(八木さん)

合う料理は、上越ではなじみの魚介エイの煮物。砂糖としょうゆ、酒で甘じょっぱく煮付けた料理だ。

上越の花見の名所としては高田公園の夜桜が有名だが、八木さんのお薦めは、その近くを流れる青田川沿いの桜ロード。「4月の上旬あたりから見ごろを迎えるのでは」と八木さん。昼間は桜ロードのお花見散歩を楽しもう。

 

県内各地で花見酒を楽しむには、電車を利用するのが一番だが、マイカーの方が便利な場所も多い。ドライバーは花見酒をガマンして、帰宅後、酒屋で仕入れたとっておきの地酒で、春の晩酌を満喫しよう。

写真協力/佐藤晴子(渡邊久男写真事務所)、Studio Activist、掲載各酒販店、朝日酒造、金升酒造、弥彦酒造、新潟県観光協会、小千谷観光協会、弥彦観光協会

 

cushu手帖』『新潟発R』編集長

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髙橋真理子