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コラム 2023.12.23

スパークリング日本酒で乾杯!

今年も残りわずか。クリスマスや年越し、正月と、ホームパーティーや会合の機会も増えてくる。今回はそんなときにぜひ味わってほしい「スパークリング日本酒」を取り上げる。

 

スパークリング日本酒とは

「スパークリング日本酒」は「スパークリング清酒」とも呼ばれ、その名の通り、炭酸ガスを含んだ発泡性の日本酒のこと。炭酸ブームもあり年々人気が高まっており、さらに日本酒の〈シュワシュワ〉は上品な甘さとともに飲み口や後味のスッキリ感があるので、性別や年代を問わず楽しまれている。新潟清酒の〈シュワシュワ〉も、さまざまな商品が登場している。

まずはスパークリング日本酒について知ろう。

 

スパークリング日本酒はその製法により大きく2つに分けることができる。

一つはソフトドリンクの炭酸飲料同様に、炭酸を後から注入するタイプ。

もう一つはシャンパンの伝統的製法である「瓶内二次発酵」のタイプ。

瓶内二次発酵とは、発酵中の醪(もろみ)を粗く搾り、火入れをせず酵母が生きた状態で瓶詰めし、瓶内で発酵(二次発酵)させたものだ。

しかし、粗く搾っているのに、スパークリング日本酒は透明のものが多いのはなぜなのか。

新潟県醸造試験場の青木俊夫場長に聞いた。

「シャンパンの伝統的製法では、瓶を徐々に逆さまにしていき、滓(おり:搾りたての酒の濁りの部分)を瓶口に集め(ルミアージュ)、瓶口の滓を凍らせて抜き取ります(デゴルジュマン)」。なるほど。このような工程を経ていることを初めて知った。

「瓶内二次発酵のほかに、粗く搾った日本酒を耐圧タンクに貯蔵して発泡性を持たせるタンク内二次発酵という方法もあります。この場合は瓶詰め前にろ過することで滓を除いています」。瓶内だけでなくタンク内で発酵させる製法もあったとは……。

「『活性にごり酒』と呼ばれるものも、酵母が炭酸ガスを生成しているので、瓶内二次発酵の一つとも言えます」。スパークリング日本酒の幅は想像以上に広かった。酒屋さんの店頭で比べて選ぶのも楽しそうだ。

瓶内(タンク内)二次発酵では「瓶内(タンク内)発酵中に溶け込んだ炭酸ガスは、炭酸ガスの溶け込みがよく、泡のきめが細かく、グラスに注いでもガスが抜けにくいです」と青木場長が特長を説明してくれた。

新潟清酒のスパークリング日本酒の中で、主な瓶内二次発酵の商品を紹介する。

合う料理も多彩

柏露酒造(長岡市)の「柏露花火」は地元の長岡花火をイメージした商品。

酒米・五百万石と県産米を65%精米で使用した純米酒で、麹由来の自然の甘さと8%の低アルコールで、日本酒ビギナーにも飲みやすいのが魅力。

ビギナーだけでなく、「スパークリングは邪道だ」と思っている日本酒通の人からも「日本酒本来の味がしっかりと味わえる」という声を聞く。

乾杯酒としてはもちろん、合う料理の幅も広い。

マーケティング本部の国井昭子さんのオススメは「鶏の唐揚げです。『柏露花火』の心地よい甘みと酸味がジューシーな鶏と相性抜群。きめ細やかな泡が、ジュワッとあふれ出る肉汁を爽快に喉に流し込んでくれます」。垂涎の組み合わせだ。

 

『祝吹(しゅくふく)』のネーミングで5種類のスパークリングを販売しているのが笹祝酒造(新潟市)。底に滓が少し残るうす濁りタイプだ。

 

コロナ禍に祝いの場が中止や縮小される中、お酒のネーミングに祝いの気持ちを込めて誕生したシリーズ。約2年試作を重ね、酒米や酵母、製法の違う5種類の瓶内二次発酵のスパークリング清酒が誕生した。

 

酒蔵の公式サイトのトップページの動画では開栓時に吹き上がる様子が紹介され、商品の〈祝福〉のイメージを伝えている。家庭で飲むときは、ここまで噴きださないよう、慎重に開栓を。

合う料理を社長の笹口亮介さんに聞くと「寿司と鍋です」の回答。

さまざまなお祝いの会で、新潟自慢の白身や貝類の握り、海鮮鍋や寄せ鍋などと楽しみたい。

 

白麹を使ったスパークリング日本酒も

通常日本酒では黄麹を使うが、焼酎で一般的に使われる白麹を使った清酒も増えてきた。スパークリング日本酒でも白麹を使ったものがある。

栃倉酒造(長岡市)では白麹を使った酸味が特徴の、うす濁りタイプのスパークリング清酒「JULIE(ジュリー)」を販売している。

酒米・五百万石を使い、米の旨みと白麹の酸味の絶妙なバランスを楽しめる1本。

ネーミングは「濁り」→「二五里」→2×510で「十里(じゅうり)」から「JULIE」に。

遊び心もあふれている。ちなみに瓶にかかっている赤いマントは、雪国のワラ頭巾をイメージしているそうだ。白と黒の2種類のラベルがある。

 

社長の栃倉恒哲さんおすすめの合う料理は「サラダなどの前菜や、シェーブルタイプ(山羊乳)のチーズです」とのこと。記念日などに、お洒落にディナーをいただきたいシーンにぴったりだ。

ラストに紹介するのは八海醸造(南魚沼市)の「瓶内二次発酵酒 白麹あわ 八海山」。

白麹を使った酸味による、軽快な味わいが特徴。酒米は五百万石を50%精米で使用している。今年6月に新潟市で開催されたG7財務大臣・中央銀行総裁会議での政府主催の夕食会の乾杯酒に採用された。

八海醸造でもう1種類発売しているスパークリング日本酒が「瓶内二次発酵酒 あわ 八海山」。

 

麹米に山田錦、掛米(かけまい)に山田錦と美山錦を、50%精米で使用。フルーティーな香りと上品な甘味を楽しめる。

これらの2本に合う個人的なオススメ料理を、広報の上村朋美さんに聞いた。

「『白麹あわ 八海山』の酸味のある味わいには白酢和えやマリネ、ヤムウンセンが好きです。『あわ 八海山』には山菜の天ぷらや鶏鍋、鶏レバーのムースが合いますね」とのこと。

2種類の「あわ」の飲み比べも楽しんでみたい。

八海醸造では2016年に設立され現在全国28社が加盟する「awa酒協会」に加盟。協会ではスパークリング日本酒の中でも会の審査をクリアしたものを「AWA SAKE」と認定し、品質向上や市場の拡大を目指し活動している。  

県内のスパークリング日本酒はこれまで紹介した商品の他にもさまざまなものが販売されている。ネット検索、酒屋さんや日本酒通の知人からの情報などをもとに、新潟生まれのスパークリング日本酒を探し、試してみよう。

お気に入りの1本が、きっと見つかるだろう。   

 

写真協力柏露酒造、笹祝酒造、栃倉酒造、八海醸造  

 

『cushu手帖』『新潟発R』発行元

ニール

高橋真理子