「越後三梅」とうたわれて地酒ブームを盛り上げた『峰乃白梅』 400年近い歴史の老舗蔵
峰乃白梅酒造

峰乃白梅酒造MINENOHAKUBAI shuzo

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PICK UP 2018

従来の淡麗辛口シリーズに加えてモダンライトを追求した『KING OF MODERN RIGHT』をリリースしました。酸度高めで甘口、ジューシーなタイプです。限定流通ですがお目に留まりましたらどうぞお試しください。

松や杉の木立に囲まれて自然豊かな環境に蔵はある

国鉄が展開した「ディスカバージャパン」のキャンペーンに乗り、「越後三梅」のひとつとして、1980年代の地酒ブームを牽引したのが、『峰乃白梅』だ。

霊場弥彦山にもほど近い

その醸造元は越後平野のほぼ中央、新潟市の日本海寄りに蔵がある。
岩室温泉を挟んで山岳信仰の霊場弥彦山と、四季を通してトレッキングが楽しめる角田山(かくだやま)が並ぶが、長者原山とも呼ばれるこの角田山の山麓に広がる福井地区が、『峰乃白梅』のふるさとだ。
このあたりは、旧石器時代や縄文時代の遺跡、古墳時代前期の古墳などがあることから、1万年以上も昔から開けていた土地であるらしい。

城下町として栄えた歴史

新潟有数の歴史を背負いながら新時代に対応の試みも

江戸時代には、長岡藩の支藩・三根山藩一万石の城下町として栄え、また北国街道筋にあって岩室温泉や弥彦神社に近いことからにぎわったという。
「冬の日本海からの北風が山を越えて吹き下ろすため、酒造りの季節は極寒となり、酒を醸すのに絶好の環境となります」 と代表取締役の高橋芳郎さんは、蔵の立地について語る。
また、これらの山に降った雨は黒御影の層で長い年月をかけて磨かれ、弥彦・角田山系の伏流水となって蔵の周りに湧き出している。
蔵の裏手を流れる小川には、夏になると無数の蛍が飛び交うというから、きれいな水の証だろう。

普通酒を造らない理由とは

ラベルを新しくした『峰乃白梅』純米吟醸・純米酒・本醸造

こうした恵まれた自然条件を生かして、造られるお酒は100%特定名称酒だ。
「本醸造、純米酒、純米吟醸にしぼって造っています」と高橋社長は話す。 この土地ならでは良質な水は、すっきりとしたきれいな味わいの酒を生み出す。
普通酒を造らず特定名称酒にこだわるのは、コメをしっかりと磨いて水を生かし本格的な品格を追求するゆえだろう。
「現状は新潟淡麗辛口です。でも将来的には芳醇辛口を目標にしています」と高橋社長。美味しい本格派を求める情熱に終わりはないようだ。 蔵の歴史は寛永年間(1624~1643年)に遡る。徳川幕府は3代将軍家光の治世。
この頃、越後三根山藩に酒を献上したとの記録が残ることから、じつに380年にもわたって酒造りをしてきたことがわかる。
新潟県内で2番目に歴史ある蔵ということになる。 なお三根山藩は江戸末期の戊辰戦争で、荒廃した本家長岡藩にコメ100俵の救済米を贈った、いわゆる「米百俵」の逸話でも知られている。

『峰乃白梅』の名に込めた想い

代表銘柄を『峰乃白梅』としたのは、1979年のこと。
隣町の漢学者・斎藤而立庵師より贈られた漢詩から採ったもので、品質では山頂を目指して「峰」を、味わいには清らかさを求めて「白梅」を冠したという。
かくして「越後三梅」とうたわれ、新潟地酒の地位を確立。 全国新酒鑑評会では平成25・26・27酒造年度3年連続金賞、関東信越国税局酒類鑑評会では平成25・26酒造年度の吟醸の部・純米の部にて2年連続優秀賞W受賞を果たしている。
「2年前にラベルを一新しました。水にぬれてもはがれないようにしたのです」と高橋社長。純米吟醸には「潤(うるおい)」、純米酒には「瑞(しるし)」の文字をサブキャッチにして入れ、酒質をイメージできるようにしている。

モダンライトの新分野へ

淡麗辛口を追求した『峰乃白梅』のラインナップ

淡麗辛口の酒を追求し主なラインナップとして展開してきた峰乃白梅酒造だが、新たな分野の開拓を試みている。
『KING OF MODERN LIGHT』のリリースはその一例だ。 このシリーズは、その名が示すように現代的でライトな風味をウリにするもの。
ジューシーでリッチな酸と、ふんわりとした甘みを強みに、乾杯酒から食中酒まで対応できる酒質。酸度高めでフレッシュなキレが心地よく、飲み飽きしない。
例えば純米大吟醸は、豊かな旨みとしなやかな酸が際立つ味。50%に精米された山田錦を100%使い、生野菜のような芳香、軽くふんわりとした甘み、しなやかな酸が織りなす世界はまさにパラダイス。食にも寄り添ってくれる。
また60%に精米した五百万石使用の純米吟醸は、香りはどこまでも控えめ。含むと軽快でかつ旨みたっぷりの味わいがスムースに広がる。かすかな酸を感じさせる含み香がこの酒のポイント。
五百万石由来のキレと調和して心地よい。 『KING OF MODERN LIGHT』は、現在の日本酒トレンドを取り入れたライトな感覚の新ブランド。今後の展開に期待が寄せられている。
それでは蔵元おすすめのお酒を紹介しよう。

取材/伝農浩子・文/八田信江